96歳でこの美文

3月6日の新潟日報「窓」に掲載された、ネズミと自分をユーモラスに表現された美文と思いここに掲載します。新潟市中央区の96歳のTKさんです。以下掲載文

〜かわいいネズミ追い回す〜
久しくお目にかからなかったネズミが、我が家に現れた。風呂上がりの私の前を、なんとまぁかわいらしい子ネズミがチョロチョロ走り回っている。ぎょっとした。
彼は、私を見るとニヤッと笑って走りだした。私はほうきを持って追いかけたが、すばしっこくてとても手に負えない。
30分ほど追いかけ回したが、私の負け。その日は、縁側の戸を少し開けて寝た。翌日、彼は風呂場や物置部屋をかけずり回った。もう私の手に負えない。やむなく殺鼠剤(さつそざい)を買って4カ所に置いた。翌日見ると、2個食べたらしい。
しめしめ成功と思ったが、死骸が見つからない。その辺で死んでいたら、ウジがたかるかもしれないと気になった。
その翌日、私の足もとで伸びていた。なんとかわいらしい。栗色の毛、大きな耳、長い尾、ピンク色の手足。体長は10㌢ほどだった。私は般若心経と一緒に紙に包んで、ごみとして出した。
それにしても、わが家のどこにネズミの出入り穴があるのだろう。